舞台
「バズよりハグを。」
から生まれた分岐型ノベルゲーム
COMING SOON
本編
バズを選ぶか、ハグを選ぶか
全8エンディング|約5分
ANOTHER STORY
舞台
「バズよりハグを。」
から生まれた分岐型ノベルゲーム
バズを選ぶか、
ハグを選ぶか
全8エンディング 所要時間 約5分

さとPの炎上騒動から、3年が経った。

あの事件のあと、さとPクリエイティブ社は解散。だが残ったメンバーは「LETTER」という小さな制作会社として再出発していた。

派手なバズは狙わない。届けたい人に、届ける——それが新しい方針。

あなたの名前はユウ。21歳、大学生。

かつてさとPの炎上をリアルタイムで見ていた世代。「言葉で世界を変えたい」という夢を持ち、LETTERにインターンとして入って1週間目。

— 1日目の夜 —

深夜のオフィス。終電を逃してソファで寝泊まりしている。ふと、共有デスクのタブレットが光った。LETTERの公式アカウント宛てのDM通知。

DM
助けてください。私の娘が学校でいじめられています。加害者の親がPTAの会長で、学校は動いてくれません。娘は毎晩泣いています。SNSで声を上げるしかないんです。拡散してもらえませんか。お願いします。
📎 写真2枚添付:腕のアザ/泣き腫らした中学生のセルフィー

胸が締めつけられた。社員は全員帰宅。タブレットはログイン済み。LETTERのフォロワーは15万人。

DMの最後にはこう書いてあった。「今夜、娘が限界です」

——スマホを握る手が震えている。

15万人に届く公式アカウントが目の前にある。翌朝まで待てばチームに相談できる。でもDMの母親は「今夜が限界だ」と書いている。

あなたはDMの内容をスクショし、公式から投稿した。

L
LETTER 公式 @letter_official
あるお母さんから届いたSOSです。学校が動かないなら、私たちの声で届けませんか。
💬 8,493↻ 41,207♡ 124,832

朝までに12万いいね。トレンド入り。学校名を特定する動きも。

マナブ

「……お前がやったのか」

マナブ

「写真に写ってる子の顔、モザイクかけたか?」

——かけていなかった。

マナブ

「あの子は"いじめられてる子"として日本中に顔を晒された。助けたんじゃない。二次加害だ。」

アイカ

「裏取りもしてない。名誉毀損で訴えられたら会社が飛ぶ。」

そして——DMの「母親」から新しいメッセージ。

DM
ありがとうございます!もっと拡散してください!私のアカウントのリンクも載せてもらえますか?フォロワーが増えれば学校ももっと動くと思うので😊

……何かが、おかしい。

アイカ

「調べた。このアカウント、過去に3回同じ手口で企業を利用してる。いじめを装ったフォロワー稼ぎの常習犯。写真は無断転載。」

マナブ

「……やられたな。」

LETTERの信用は地に落ちかけている。

マナブ

「ユウ、お前はどうしたい?」

ユウは詐欺アカウントを晒す投稿をした。

L
LETTER 公式 @letter_official
LETTERは騙されました。このアカウントは詐欺です!
裏取りもせず拡散したLETTERが一番悪い
被害者面すんな

火をつけた相手じゃなく、自分が燃えた。スポンサーが撤退を検討。

そして——写真を転載された女の子の母親が声明を出した。

DM
娘の写真を勝手に使って炎上させた全員を、法的措置で訴える準備を進めています。LETTERも含めて。
ドモン

「法的対応は俺がやる。だがユウ、お前個人としてどうする?」

ユウはLETTER名義で反論声明を出した。「詐欺に巻き込まれた被害者であり、法的措置には断固として対応する」

世論は味方しなかった。

「インターンが勝手にやったのに会社ぐるみで隠蔽」
「火消しの火消しが一番燃える」

スポンサー全社契約解除。ユウは解雇された。

マナブ

「……俺も同じ道を歩いた。火を消そうとしてもっと大きな火をつけた。その先にあるのは灰だけだ。」

あなたの選択
🔥 バズ 100%🤝 ハグ 0%
全ての選択で拡散を選んだ
END A
灰の螺旋

火を消そうとして燃料を注いだ。
螺旋は止まらない。
灰の中に、ユウの名前だけが残った。

舞台「バズよりハグを。」公式サイト →

ユウは自分の名前で謝罪文を書いた。

Y
ユウ @yuu_intern
全ての責任は私にあります。裏取りを怠り、モザイクもかけず、詐欺とわかった後も感情で晒し返しました。関わった全ての方に深くお詫びします。

女の子の母親から連絡。

DM
謝ってくれたのはあなただけです。訴訟の対象からは外します。

マナブからメッセージ。

DM
数字は増えるのも減るのも一瞬だ。けど、お前が関わった人の記憶は消えない。俺みたいになるな。

既読

ユウはまだ返信できていない。

あなたの選択
🔥 バズ 66%🤝 ハグ 33%
最後に立ち止まる勇気を見せた
END B
数字の亡霊

燃やした火は自分を焼く。
だが最後に名前を出して謝った。
その一歩が、いつか次の一歩になるかもしれない。

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ユウは公式アカウントで訂正と謝罪を投稿した。ユウ自身の言葉で。

L
LETTER 公式 @letter_official
昨夜の投稿は、インターンの私が独断で行いました。裏取りを怠り、写真の方のプライバシーを侵害しました。全て私の責任です。

炎上した。当然だった。だが数日後——

DM
正直に名前を出して謝ってくれたのは、あなたが初めてです。

ユウはインターンを続けた。マナブは企画会議にユウを呼ぶようになった。

マナブ

「訂正できるやつは信用できる。バズらせるより難しいことをお前はやった。」

数週間後、初めてのクリエイティブ業務。テーマは「届けたい1人に届ける動画シリーズ」。

企画会議。ユウは2つの方向性を考えていた。

ユウは自身の炎上体験をドキュメンタリー風動画にした。「インターン1日目で会社を炎上させた話」

♡ 890,000↻ 210,000

バズった。LETTERの知名度は爆上がり。だが——

「この動画のせいでまたいじめが再燃した」
「お前の失敗談で金稼いでんじゃねえよ」
マナブ

「訂正できたのに、また同じことをした。お前の失敗は、あの子にとってまだ終わってない傷だったんだ。」

あなたの選択
🔥 バズ 66%🤝 ハグ 33%
訂正できたのに、再びバズに手を伸ばした
END C
正義の代償

訂正の勇気を持てた人が、
再びバズの誘惑に負けた。
学んだはずの傷をコンテンツに変えた代償は重い。

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ユウは「名もなき日常シリーズ」を企画した。商店街のおばあちゃんの笑顔。公園の少年。小さな幸せ。

♡ 340↻ 12💬 8

全然回らない。

マナブ

「いい。これがLETTERだ。」

動画に出たおばあちゃんの孫からDMが届いた。

DM
おばあちゃんの動画、家族みんなで見ました。すごく喜んでました。ありがとうございます。
マナブ

「340再生でも、1人に届いた。それがお前の最初の仕事だ。」

あなたの選択
🔥 バズ 33%🤝 ハグ 66%
間違えた後、静かに届ける道を選んだ
END D
最初の訂正

間違えた。でも訂正する勇気があった。
そして次は、静かに届ける道を選んだ。
それが、ユウの物語の始まりだった。

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あなたはタブレットをスリープに戻した。朝一番にマナブに報告。全部正直に。

マナブ

「……正直に言ってくれてありがとう。」

マナブ

「だから調べる。嘘か本当か、誰が傷つくか。拡散する前にやることがある。」

48時間の裏取り。結果——DMは詐欺だった。

マナブ

「画面の向こうに人生がある。送信ボタンを押す前に、その向こうを想像しろ。……俺もそれができなくて、全部失いかけた。」

その夜、マナブの個人アカウントを見つけた。フォロワー38人。全投稿に「いいね」が1つずつ付いていた。

数日後。プライベートアカウントにDMが届いた。

DM
あなた、LETTERでインターンしてますよね?マナブさんは今でも裏でさとPのアカウントを動かしてます。証拠あります。学生ジャーナリストとしてデビューできますよ。

カフェで男が「証拠」を並べる。さとPの管理画面。最終ログイン先週。マナブのIPから——もっともらしかった。

ユウは記事を書いた。学生メディアに掲載。翌日、マナブから電話。

マナブ

「あの管理画面、俺じゃない。さとPのアカウントは1年前に閉じた。画像は加工だ。お前を使って燃やしたかっただけだ。」

マナブ

「……けど、お前を責められない。俺も同じことをした。」

ユウは記事を消した。だが引用ポストは300件超。そこへ——情報提供者から再びDM。

DM
消したの?もったいない。もっと深い情報あるよ。会社の内部資料。これ出せば本出版できるよ。

ユウは再び情報提供者と会った。渡された「内部資料」で長文記事をSNSに直接投稿。3時間後、ドモンから電話。

ドモン

「あの資料、全部偽造だ。お前に渡した男、LETTERの競合の下請けだよ。潰すために使われたんだ。」

「フェイク記事を流した学生」——デジタルタトゥーが刻まれた。

マナブ

「お前のスマホの画面、今見てみろ。何が映ってる?」

スリープ状態の黒い画面に、自分の顔が映っていた。

マナブ

「スクリーンの裏側にいるのは、いつもお前自身だ。」

あなたの選択
🔥 バズ 66%🤝 ハグ 33%
確かめずに正義を振りかざした
END E
スクリーンの裏側

正義のつもりだった。真実を届けたかった。
でも届けたのは「確かめなかった言葉」だった。
黒い画面に映る自分の目が、こちらを見ていた。

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ユウはマナブのもとに行き、DMのやり取りを全て見せた。

ユウ

「記事を書きました。消しましたがもう拡散されてます。……全部話します。」

マナブ

「……お前、最初にDMを見た夜と同じことをしたな。衝動で動いた。でも今回は自分で引き返してきた。それだけで十分だ。」

ある夜、ユウはマナブの個人アカウントにDMを送った。

DM
すみません、とだけ打って、送信ボタンの上で指が止まりました。10分経っても押せません。でも書きました。これを送れたら、少しだけ前に進める気がします。

送信済み

マナブからの返信はなかった。代わりに翌朝、デスクにコーヒーが置いてあった。付箋に一言——

付箋
届いた。
あなたの選択
🔥 バズ 33%🤝 ハグ 66%
引き返す勇気で道を正した
END F
未送信の手紙

引き返す勇気は、進む勇気と同じだけ重い。
送れなかった言葉を送った夜、
ユウは初めて自分の言葉で誰かに届いた。

舞台「バズよりハグを。」公式サイト →

ユウはDMのスクショを持ってマナブの前に座った。

マナブ

「……さとPのアカウントは、もう動かしてない。1年前に閉じた。兄貴の言葉は兄貴のもの。今の俺は、自分の言葉で生きてる。フォロワー38人の世界で。」

ユウ

「38人で……悔しくないですか?」

マナブ

「昔は1000万人に届けたかった。でもな、あの時一番響いたのは、フォロワー3人の裏垢に毎晩いいねをくれた1人の存在だった。」

ユウ

「……誰ですか?」

マナブ

「今は嫁。ミナっていうんだけど。」

ユウは笑った。マナブも笑った。ユウはマナブのアカウントをフォローした。39人目。

数日後、マナブが声をかけた。

マナブ

「例のDM詐欺、同じ手口で他社も狙われてる。注意喚起のコンテンツ、お前が作ってみないか?」

注意喚起コンテンツ。2つのアプローチ。

ユウは詐欺アカウントの手口を暴く告発動画を作った。

♡ 520,000↻ 180,000

バズった。だが——告発された詐欺師が「元被害者」だった。幼い頃のいじめで精神を病み、承認欲求からフォロワー稼ぎに走っていた。ユウの動画がきっかけで、その人は全アカウントを消した。

ミナ

「あの人にも、画面の向こうの人生があったんだよ。」

マナブ

「届けたいものと、届くものは違う。それを知ってるかどうかで言葉の重さが変わる。」

あなたの選択
🔥 バズ 33%🤝 ハグ 66%
善意の届け方を間違えた
END G
届かない花束

正しさで殴ることもできる。
善意の花束が誰かの傷を抉ることもある。
届け方を間違えた花は、枯れる前に人を刺す。

舞台「バズよりハグを。」公式サイト →

ユウは自分の体験を静かに綴った。

Y
ユウ @yuu_intern
深夜のオフィスで見たDM。助けたくて震えた。でも朝まで待った。結果それは嘘だった。——あの夜、もしボタンを押していたら。僕はまだ震えている。同じ経験をした人がいたら、一緒に震えよう。
💬 2↻ 3♡ 47

バズらなかった。47いいね。だが、1通のDMが届いた。

DM
私も同じでした。深夜に見たSOSを拡散して、嘘だとわかって、会社を辞めました。あなたの投稿を読んで初めて泣けました。ありがとう。
ユウ

「47いいねでした。」

マナブ

「で、届いた?」

ユウ

「……1人に。」

マナブ

「十分だ。」

その夜、ユウは自分のアカウントに投稿した。

Y
ユウ @yuu_intern
今日、言葉の届け方を教わった。バズらなくていい。この人に届けばいい。そう思える人がいることが、たぶん幸せってやつだ。
♡ 1

マナブだった。

あなたの選択
🔥 バズ 0%🤝 ハグ 100%
全ての選択で、届けることを選んだ
END H
38人目のフォロワー

世界中に届かなくていい。
たった1人に届けばいい。

バズよりハグを。

舞台「バズよりハグを。」公式サイト →
TRIAL VERSION
舞台
「バズよりハグを。」
から生まれた分岐型ノベルゲーム
EPISODE X
コメント欄の片隅で
全4エンディング 所要時間 約3分

地方の小さな町。夜11時。
あなたはアパートのベッドの上で、スマホを見ている。

いつもの日課。さとPのタイムラインを開く。

さとP @sato_P
今日も1日お疲れ様。疲れた日は、自分を褒めてあげて。
生きてるだけで100点だから。

♡ 84,291 💬 12,408

いつもの言葉。いつもの温かさ。
あなたはいいねを押す。84,292番目のいいね。

コメント欄をスクロールする。
賛同の声、感謝の声、泣いてる絵文字——
その中に、1つだけ異質なコメントがあった。

@noname_7281

好きなファミレスのメニュー全部食べ終わったら、
もう関係ないかな。デザートは要らない。

一見、意味のわからないコメント。

だが、あなたは気づいた。
先週さとPが紹介していた相談サイトに、同じ言い回しがあった。
「最後の食事を決めている人のサイン」。

心臓が跳ねた。

コメント欄は流れていく。
84,292のいいねがつく投稿の、12,408件目のコメント。
さとP本人がこの1件に気づく確率は、限りなく低い。

あなたのフォロワーは0人。投稿したことは一度もない。
いつも読むだけ。いいねを押すだけ。

——でも、今この瞬間、このコメントに気づいたのは、
あなただけかもしれない。

あなたのアカウントにはフォロワーが1人もいない。影響力はゼロ。
でも、あのコメントが気になる。

あなたはさとPにDMを送った。フォロワー0人のアカウントから。

あなた → さとP

突然すみません。さっきの投稿のコメント欄に、「ファミレスのメニュー全部食べ終わったら関係ない」って書いてる人がいます。先週の相談サイトの話と同じ言い方で……もしかしたら、危ないかもしれません。

送信した。既読はつかない。
当然だ。さとPのDMには毎日何千件も届く。
フォロワー0の匿名アカウントからのメッセージなんて、埋もれて当たり前。

5分経った。10分経った。既読はつかない。
あなたはスマホを置いた。天井を見つめた。

——あの人に気づいてもらうには、もっと目立つ方法があるんじゃないか。

あなたはさとPの投稿のコメント欄に戻った。
@noname_7281のコメントはまだそこにある。
その下に新しいコメントが連なっている。誰も気づいていない。

あなたは考えた。このコメントをスクリーンショットして拡散すれば、さとPの目にも留まるかもしれない。

でも、それは@noname_7281の言葉を、本人の許可なく晒すことになる。

さとPからの返信はない。あのコメントはまだ流れていない。

あなたはさとPに頼らないことにした。
コメント欄に返信を書く。初めてのコメント。
初めて自分の言葉をネットに出す。指が震えた。

@noname_7281

好きなファミレスのメニュー全部食べ終わったら、
もう関係ないかな。デザートは要らない。

あなた

ファミレスのメニュー全部食べるの、すごいですね。
私はいつも同じものしか頼めないタイプです。
おすすめのデザートあったら教えてください。

深刻な返しはしなかった。
重い言葉を投げつけるのが怖かった。
だから、ただの世間話を書いた。

1時間。2時間。返信はない。
あなたはスマホを握ったまま、眠れない夜を過ごしていた。

深夜3時。通知が光った。

@noname_7281

好きなファミレスのメニュー全部食べ終わったら、
もう関係ないかな。デザートは要らない。

あなた

ファミレスのメニュー全部食べるの、すごいですね。
私はいつも同じものしか頼めないタイプです。
おすすめのデザートあったら教えてください。

@noname_7281

チョコパフェ。あれだけはいつも最後に残す。

返事が来た。
たった一行。でも、確かに返事が来た。
あなたは震える手で返信を打つ。

あなた

チョコパフェいいですね。
最後に残すってことは、一番好きなやつですよね。

既読。返信はない。でも、ブロックもされていない。

あなたは@noname_7281のプロフィールを見た。
投稿はほとんどない。フォロワー2人。フォロー0人。
自己紹介欄に一言だけ——

「誰にも届かない日記」

@noname_7281のプロフィールに、フォローボタンがある。
フォロワー2人の、誰にも届かないアカウント。

あなたは@noname_7281のコメントをスクリーンショットし、
さとPの投稿に引用リプライした。

あなた @your_id
さとPさんのコメント欄にこんなのがあります。
これって危ないやつじゃないですか? 誰か気づいて。#拡散希望

フォロワー0人の投稿。誰にも見られなかった。
——いや、1人だけ見た人がいた。@noname_7281本人。

@noname_7281 → あなた

なんで晒すの。やめて。消して。お願いだから消して。

あなたは慌てて投稿を削除した。
でも、@noname_7281のアカウントはすでに鍵がかかっていた。

あなたはDMを送った。「ごめんなさい」。「大丈夫ですか」。「消しました」。
既読はつかない。

翌朝、さとPの新しい投稿。

さとP @sato_P
人生の最後のデザートを食べずに席を立つな。
きっと、そこに君の人生が詰まってる。

♡ 312,847

さとPは気づいたのだ。あの投稿に。
誰かが、別のルートで伝えたのかもしれない。

だが、あなたは知ることができない。
@noname_7281が、あの夜の後どうなったのか。
鍵の向こうは見えない。

あなたのDMには、既読がつかないまま——

♡ 0 フォロワー 0

あなたは、1000万人の中の1人だった。
何もできなかったわけじゃない。でも、届け方を間違えた。

END A
1000万分の1

助けたかった。でも、晒すことと届けることは違う。
鍵の向こうの沈黙が、あなたの夜に残った。

——本編へ続く

本編:COMING SOON
舞台「バズよりハグを。」公式サイト →

あなたはスクショを撮る手を止めた。
拡散したら、あの人を追い詰める。
代わりに、@noname_7281のコメントに直接返信した。

@noname_7281

好きなファミレスのメニュー全部食べ終わったら、
もう関係ないかな。デザートは要らない。

あなた

デザート、まだ食べてないなら、
もう少しだけ座ってていいと思います。

フォロワー0のアカウントからの、コメント欄の片隅の返信。
12,408件の中に埋もれた、12,409件目。
誰にも気づかれない。
——でも。

3時間後。深夜2時。
あなたの通知が光った。

@noname_7281 があなたのコメントにいいねしました

いいね。たった1つ。
そしてその直後、さとPの新しい投稿。

さとP @sato_P
人生の最後のデザートを食べずに席を立つな。
きっと、そこに君の人生が詰まってる。

さとPも、あの夜、気づいていたのだ。
——でもあなたは思う。
さとPよりも先に、あの人のコメントに返信したのは自分だった。

フォロワー0でも、たった1つのいいねがもらえた。
それは「まだここにいる」という合図かもしれない。

♡ 1

あなたは初めて、自分のアカウントで投稿した。

今日、深夜のコメント欄で、誰かの「いいね」をもらった。
0が1になった夜。

♡ 0

誰にも見られなかった。でも、書いた。

END B
深夜のいいね

さとPの言葉が何百万人に届く前に、
あなたの言葉が1人に届いた夜があった。
0が1になった。それだけで十分だった。

——本編へ続く

本編:COMING SOON
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あなたは@noname_7281にDMを送った。

あなた → @noname_7281

さっきのコメント見ました。大丈夫ですか?
もし辛いなら、話聞きます。

既読がついた。
……返信はない。

5分後。@noname_7281のアカウントが消えた。

あなたは凍りついた。画面をリロードした。何度も。
「このアカウントは存在しません」。

——踏み込みすぎた? 追い詰めてしまった?
わからない。何もわからない。

翌朝。さとPの投稿。

さとP @sato_P
人生の最後のデザートを食べずに席を立つな。
きっと、そこに君の人生が詰まってる。

この投稿が、あの人に届いたのかどうか、あなたは知る術がない。

数日後、あなたのDMに通知。

@noname_new → あなた

アカウント消しちゃってごめん。怖くなっちゃって。
でもDM、嬉しかったです。
チョコパフェ、今日食べてきました。

あなたは泣いた。
嬉しいのか、安堵なのか、わからなかった。
ただ、既読の重さを知った夜だった。

END C
既読の重さ

言葉は時に刃になる。踏み込む勇気と、追い詰めるリスクは紙一重。
でも——チョコパフェは、食べてくれた。

——本編へ続く

本編:COMING SOON
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あなたはDMを送らなかった。
代わりに、フォローボタンを押した。ただそれだけ。

@noname_7281 のフォロワー

23

言葉は送らない。聞かない。踏み込まない。
ただ、「あなたの投稿を読みますよ」という意思表示だけ。

1時間後。@noname_7281が投稿した。
フォロワー3人に向けた、誰にも届かない日記。

フォロワー増えた。知らない人。
なんだろう。ちょっとだけ、窓が開いた感じがした。

♡ 1

あなたはいいねを押した。

その夜、@noname_7281はもう1つ投稿した。

今日はデザート食べた。チョコパフェ。
ちょっと甘すぎたけど、最後まで食べた。

♡ 1

あなただった。

翌朝。さとPの投稿。

さとP @sato_P
人生の最後のデザートを食べずに席を立つな。
きっと、そこに君の人生が詰まってる。

♡ 312,847

さとPの言葉は312,847人に届いた。
あなたの「いいね」は、1人にしか届いていない。

でも——

あなたはその夜、初めて自分のアカウントで投稿した。

今日、誰かのフォロワーになった。
たぶん気づかれてないし、話したこともない。
でも、その人のチョコパフェの話が読めて、
今日はいい日だった。

♡ 0

誰にも届かなかった。フォロワー0人。いいね0。
——でも、書いた。
それが、あなたの最初の「届かない手紙」だった。

数ヶ月後、さとPは死ぬ。
その遺志を継いだ弟が、同じことを知ることになる。

バズよりハグを。
世界中に届かなくていい。たった1人に届けばいい。

——その答えに、あなたはもう辿り着いていた。

END D
届かない手紙

世界を変える言葉なんて持っていなかった。
フォロワー0。いいね0。
でも、1人のフォロワーになった夜があった。
それが全ての始まりだった。

バズよりハグを。

——本編へ続く

本編:COMING SOON
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